医療や食やセラピーの現場で、自分や家族の不調に何を食べたらいいのか迷う患者さまやクライアントさまに、やさしい家庭薬膳レシピを提案できる人材を育成して14年になります。 きっかけは、肺がんの放射線の通院治療で体内の呼吸器に火傷を負った父に、実家で炎症を癒す料理を考えられなかった会社員当時の後悔でした。 父が他界した後この苦い経験を糧に薬膳を学び、勤めを辞して2008年に《薬膳の専門家》を養成する薬膳スクールを開校して現在に至ります。 《薬膳の専門家》を育てる【ナチュラル薬膳生活Ⓡ学び舎ブログ】
今日は柏の薬膳スクールが入っている蓮蓉茶樓ハウスの1階で、ZOOMオンライン薬膳理論レッスン【前期】薬膳基礎コース(上級)。
中医営養学の薬膳素材の分類についての講義を行いました。
今日カバーしたのは、デトックス系の薬膳素材。
体の中に溜まった水毒、血の塊、気(生体エネルギー)の滞り、便秘・・・
こうした老廃物を体の外に出すお手伝いをしてくれる食材を分類ごとにご紹介していました。
すると、パソコンに向かいながらレクチャーをしていたら、足元がすごく冷えて来たのですね。
まだ4月も後半でゴールデンウイークが間もなくと言われている時期です。
それなのに、まるで梅雨寒のようなお天気になりました。
ちょうどそう思いながらお話ししていたら、『ナチュラル薬膳生活入門編』テキストの「去湿類」カルダモン・白豆蔲(びゃくずく)に目が留まりました!
そして、来月出版する『ナチュラル薬膳生活レシピ開発BOOK Vol.5 梅雨 季節薬膳』に収載する予定の「カルダモン紅茶」を思い出したのです。
講義の中では生徒さまへ、ぱっと浮かんだこのインスピレーションを引き合いに分かち合いました。 今日は冷えて寒いのでレッスンが終わったら、「カルダモン紅茶」薬膳茶として淹れ、梅雨寒のときのような冷えを改善するセルフメディケーションをしようかな~とお話した次第です。 そしてレッスンの後で、実際にお昼に持参した薬膳のお弁当と一緒にカルダモン紅茶を飲んだら、心と体がとても喜びました。 そこで今回は梅雨寒のようなお天気コンディションにサクッと淹れたハーブ薬膳茶「カルダモン紅茶」について、レシピ開発の考え方をご紹介します。 テーマは、「【薬膳レシピ開発】「カルダモン紅茶」梅雨寒のような日のお弁当のおともに」。
薬膳素材としてのカルダモン(白豆蔲・びゃくずく)とは
ではまず、カルダモンとはどんな薬膳素材なのでしょうか。 カルダモンはスーパーで手軽に買えるスパイス系の薬膳素材。 西洋ではメディカルハーブとしても扱われています。 生薬としては白豆蔲(びゃくずく)と呼ばれています。
カルダモン(白豆蔲・びゃくずく)は、ショウガ科(Zingiberaceae)のビャクズク属(Amomum Kravanh Pierre ex GAGNEP,)の成熟果実です。 中医学では生薬を研究する学問分野を「中薬学」といいます。 中薬学では経験則でカルダモンを使うと、呼吸器や消化器を温めることが知られてきました。 だから冷えているせいで、胸がつかえる感じがしたり、食欲があまりなかったり、こうした症状を改善する漢方薬に配合されています。 みなさん嗅いだことがあると思いますが、カルダモンには独特な香りがあります。 薬膳素材として使う時はこの香りの刺激を生かして、鼻から気管支に入ってきた芳香に肺を刺激させます。 中医学では肺は「水の上源」と言われます。 だから体の上の方にある肺に香りを昇らせて貯水池の臓器に働きかけることは、水分の代謝を高めることにつながると考えるのです。 中医学では体は大宇宙(自然界)の気候変動の影響を強く受けると、体調を崩しやすいと言われています。 今日は梅雨寒のようなお天気で湿度が高く肌寒かったのですね。 外界が湿気ていると、体の中も同じように水分が多くなりすぎて湿気てしまうと捉えます。 呼吸器や消化器がよく働くには適度な潤いと温かい環境が必要です。 しかし、寒くてあまりにも水分が多いと胸のあたりがつかえたように感じることが多いのです。 そして、お腹のあたりに違和感が生じるので食欲がなくなったり、吐き気を感じたり、下痢をしたりすることもあります。 実はスーパーのスパイス売り場で買えるカルダモンは、こうした症状を改善する漢方薬に配合されている生薬でもあるのですね。 もちろん薬膳素材として使う場合は、薬機法に気をつけて生薬の白豆蔲(びゃくずく)とは呼びません。 食品の「カルダモン」と称して薬膳づくりに生かすようにしましょう。
カルダモンを薬膳お弁当のお供に
昨日はおニューのわっぱ弁当に薬膳を詰めて柏本校サロンへ出勤。 鯵のカルダモン焼きと醤油こうじ葱納豆を詰めて行きました。 お話ししたとおり午前中の薬膳素材の理論の講義では、湿気対策の食材をかなりご紹介。 そのうちのひとつが「カルダモン」でした。 もちろんレッスンの後に、早速カルダモン紅茶を淹れました。 カルダモンを紅茶と組み合わせた理由。 それは温かく淹れた紅茶はお腹を温めるし、利尿の働きがあるからです。 カルダモンが肺に働きかけて体の中の水はけをよくする働きに、紅茶の利尿作用を加えると、余計な湿気を外に追い出す力を高めるのですね。 実際に食後、お小水がよく出ましたので冷えによる浮腫みの予防とケアに役立ちました。
なんだか寒くて寒くてカルダモン紅茶にはさらに、枸杞酒を小さじ1プラス。 薬酒を少し加えただけで、おかげさまでお腹から温まりました。 熱くしたお茶に少しだけたらせばアルコールは飛ぶので、酔っぱらう心配はありません。 枸杞の実の赤い植物色素成分は目をいたわるし、緩やかなエイジングにもばっちり。 だから冷え改善で目にもやさしい薬膳茶にグレードアップしました。 美味しい薬膳茶を飲みながら頂く手作りの薬膳お弁当はとても美味しかったです。 そんなこんなでサロン教室でのランチタイムは、わっぱ薬膳お弁当&薬膳茶に夢中になりそうです。
まとめ【薬膳レシピ開発】「カルダモン紅茶」梅雨寒のような日のお弁当のおともに
今回は今日の【前期】薬膳基礎コースの中医薬膳学のデトックス系の薬膳素材の分類で出てきた「カルダモン」にフォーカス。 ZOOMレッスンをしていたら今日はたまたま梅雨寒のような日で、カルダモンの薬膳茶を淹れて温まりたいと感じました。 カルダモンは呼吸器や消化器が湿気や冷えで不調を起こした時におススメの薬膳素材。 胸のつかえや食欲不振を予防ケアするのに役立つスパイス系の薬膳素材、メディカルハーブ、生薬でもあることをご紹介しました。 それからレッスンの後で、湿気と冷えで起こりやすい不調を改善する「カルダモン紅茶」を飲みながら、柏本校サロンに持参した薬膳お弁当を堪能したエピソードを分かち合いました。 こうした薬膳ライフコーチのナチュラル薬膳生活の食事が、これから薬膳の専門家を志すみなさんの参考になれば幸いです。 須崎桂子けいてぃー♪ 参考文献: 須崎桂子著『ナチュラル薬膳生活入門編』 神戸中医学研究会編著『中医臨床のための中薬学』 Andrew Chevallier『Herbal Remedies』