【薬膳レシピ開発】潤い不足や貧血予防に秋の味覚生落花で薬膳粥を楽しむ

【薬膳レシピ開発】潤い不足や貧血予防に秋の味覚生落花で薬膳粥を楽しむ

薬膳ライフコーチがレシピ開発中

医療や食やセラピーの現場で、自分や家族の不調に何を食べたらいいのか迷う患者さまやクライアントさまに、やさしい家庭薬膳レシピを提案できる人材を育成して14年になります。 きっかけは、肺がんの放射線の通院治療で体内の呼吸器に火傷を負った父に、実家で炎症を癒す料理を考えられなかった会社員当時の後悔でした。 父が他界した後この苦い経験を糧に薬膳を学び、勤めを辞して2008年に《薬膳の専門家》を養成する薬膳スクールを開校して現在に至ります。 《薬膳の専門家》を育てる【ナチュラル薬膳生活Ⓡ学び舎ブログ】 中医学では秋は乾燥してくる季節なので大宇宙=大自然の季節変化に合わせ、体を潤す食養生が勧められています。 例えば今は、全身がしっとり潤う薬膳粥で乾燥による咳やドライ肌を予防するのがよいですね。 水分たっぷりの薬膳粥は目的に応じてさまざまなバリエーションがあります。 例えば、先日は千葉県民ならではの特権みたいな(笑)秋の味覚、「生」の落花生をスーパーマーケットでゲット。

落花生おおまさり

19年前に我孫子に引っ越してくるまで、それまで住んでいた東京都下で「生」落花生なるものがスーパーで売られているのを見たことはありませんでした。 落花生は血(けつ)を潤すので間接的に体液を満たすのにも役立つ薬膳素材。 茹でた生落花生はとても美味しいので、千葉県民になってからは毎年秋のお楽しみとなっています。 来月半ばに横浜に引っ越すので、きっと神奈川県では千葉県特産の収穫したての生の落花生はなかなか手に入らないでしょうね。 そう思いながら今日は秋の乾燥期によい季節の薬膳粥を炊きましたので、今回は「【薬膳レシピ開発】潤い不足や貧血予防に秋の味覚生落花で薬膳粥を楽しむ」を分かち合わせていただきます。

薬膳の中医営養学と現代栄養学からみる落花生の働き

中医学には中医営養学という分野があって、薬膳素材となる食材が働きに応じて分類されており落花生もその中に属しています。 「営養」は中国語で、日本語の「栄養」のことです。 ここでは血を補給することで間接的に身体を潤す落花生の働きを含め、その作用を中医営養学と現代栄養学の視点から比較して捉えます。 中医営養学的にみると落花生には血(けつ)を補給、血脈が破れて出血しないようにする止血、お乳の出をよくする通乳、呼吸器を潤して咳を鎮める潤肺止咳、吐き気止めの止嘔、消化器系統の働きを健やかに保つ健脾和胃、浮腫みを改善する利水化痰の働きがあります。 面白いことに、体を潤す働き水毒を排出する働き、という正反対のことをやってのけ、その他の働きもあるので多面的に身体に作用します。 秋の乾燥を癒すのが薬膳の目的であるならば、落花生を使う際は呼吸器を通じて体全体を潤す働きを活用すること。

茹で落花生

中医学では体液と血(血液)はお互いに補い合うと言われています。 体液が足りなくなれば血から水分を融通してくるし、血が足りなくなれば体液を削って潤いを調達してくると言った具合です。 特に秋は乾燥する季節なので体液を消耗しやすいから、体の潤いも血も両方たっぷり体に満たしておきたいもの。 どちらか一方が不足すると体液と血は補い合うから、潤い不足で咳やカサカサ肌の症状が出たり、貧血になったりしやすいからです。 現代栄養学的に見ると、落花生は鉄分が100gあたり1.6mgとものすごく多いわけではないのですが、中医学的には血を補給する補血類に分類されているのが面白いところです。 落花生は血管壁を活性酸素から守り血行を促進するビタミンEや、血中コレステロール値を下げて動脈硬化を予防する不飽和脂肪酸のオレイン酸などを含んでいます。 実は現代栄養学で言えば貧血予防より、血管をしなやかに保ち全身隅々まで赤血球を運んで栄養を届けるほうへの期待が高いですね。 以下は、今回ご紹介した落花生の中医薬膳学的かつ現代栄養学的な働きをまとめたものです。
営養補給系 補血類 落花生 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 平 甘 脾 肺 補血止血 通乳 潤肺止咳 止嘔 健脾和胃 利水化痰 *栄養素・生理機能成分* たんぱく質 脂質 亜鉛 鉄 ビタミンE オレイン酸 リノール酸

参考文献 『ナチュラル薬膳生活入門編』 『食材健康大事典』 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

落花生で潤したいなら水分の多い調理法を選ぶかペースト状の加工品がお勧め

では秋の乾燥に対して潤す調理法のひとつとして、千葉県で手に入れやすいしっとりした生の落花生を茹でて食べる方法をご紹介しましょう。 今日は食べ切れなかった茹で落花生の殻を外し、柔らかい薄皮ごと残りご飯に入れてお粥に炊きました。 生落花生の薄皮はカサカサしていないし渋味が少ないので、とても美味しく仕上がります。

生落花生の薬膳粥

作り方は簡単。 冷ご飯とチキンスープと自然塩と殻を外した生落花生を一緒にお粥に炊いただけ。 しかし地域によって生の落花生は手に入れにくいですよね。 生落花生がない場合は乾燥した落花生を使って頂くことになります。 わたくしは中国に20歳代ころに留学して住んでいた時、中国人が茹でピーナッツを日常的に嗜好品として食べる習慣があるのを初めて見ました。 現地で出会ったのは、真っ黒な茹で汁に浸った茹で落花生。 当時はまだ若く日本人の自分の口には合わなかったので、その後、茹で落花生は真似はしませんでした。 しかし30歳代に香港で働き始めたら、大好きな中華粥の種類の中にピーナッツが入りの「花生粥(ふぁーさんじょっ)」なるものを発見。 試しに食べたらおいしかったので、よく注文するようになりました。 先にご紹介した生落花生の薬膳粥は、香港で食べたあの味を思い出しながら開発したレシピです。 日本では通常出回っている落花生つまりピーナッツは乾燥品。 ですから潤したい場合は、そのままポリポリ食べても喉に破片が張りつきやすく、食道を滑らかに通して体を潤す効果は期待できないと思います。 中医学的に血を満たすことは体を潤すのにつながるとは言うものの、潤すために落花生を使うならやはり水分の多いお粥のような調理法が向いています。 もし別の調理法で落花生を潤い補給に使いたい場合は、落花生をペースト状にした加工食品を使うのも手です。 それはいわゆるピーナッツバター。 薬膳作りに使う場合は砂糖などが入っていない無添加のものを選ぶのがお勧め。 自分で薬膳の配合や味付けを決め、目的に合わせてレシピ開発できるからです。 例えば落花生をウルウルになるために使いたい場合は、豆乳でのばしたピーナッツドレッシングのような食べ方もアリ。

ピーナッツドレッシング

瑞々しいサラダにかけて頂くと、お肌も体も潤ってくるのを感じますよ。

まとめ【薬膳レシピ開発】潤い不足や貧血予防に秋の味覚生落花で薬膳粥を楽しむ

今回は、千葉県に住む薬膳ライフコーチ毎秋楽しみにしている生の落花生を薬膳素材として活用している話題をお届けしました。 テーマは「【薬膳レシピ開発】潤い不足や貧血予防に秋の味覚生落花で薬膳粥を楽しむ」。 秋は外界の乾燥した空気の影響で潤いを奪われるので、カサカサ肌や咳などのトラブルが起こりがち。 中医学的に落花生には血を補給する働きがあるのですが、血を満たすと身体も潤すという考え方があります。 そこで、落花生を入れたしっとり身体を潤す薬膳粥を炊いて、潤い不足や貧血の予防ケアに役立てる方法などをご紹介しました。 こうした薬膳の知恵を現代のライフスタイルに取り入れて、健やかに幸せに暮らす「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」の社会普及活動の一端を知って頂けたら幸いです。 須崎桂子けいてぃー♪ 参考文献・出典: 『ナチュラル薬膳生活入門編』 『食材健康大事典』 日本食品標準成分表2020年版(八訂)]]>