医療や食やセラピーの現場で、自分や家族の不調に何を食べたらいいのか迷う患者さまやクライアントさまに、やさしい家庭薬膳レシピを提案できる人材を育成して14年になります。
きっかけは、肺がんの放射線の通院治療で体内の呼吸器に火傷を負った父に、実家で炎症を癒す料理を考えられなかった会社員当時の後悔でした。
父が他界した後この苦い経験を糧に薬膳を学び、勤めを辞して2008年に《薬膳の専門家》を養成する薬膳スクールを開校して現在に至ります。
《薬膳の専門家》を育てる【ナチュラル薬膳生活Ⓡ学び舎ブログ】
今日は柏の薬膳スクールが入っている蓮蓉茶樓ハウスの1階でご通学の薬膳理論レッスン【前期】薬膳基礎コース(中級)。
その後で、2階に新しくしつらえた貸しスタジオで軽く自主練で「薬膳ライフヨガ」をしました。
画像が粗いのは動画のスナップショットゆえあしからず。
柏駅西口から徒歩7分、柏中学校、東葛高校の間のアカデミックな地域で薬膳スクールに加えてこの4月から音楽やヨガの貸しスタジオを営むことになりました。
まだ壁際に荷物などが置いてありますが、徐々に心地よい空間に整えて参ります。
それから我孫子のオフィス兼住宅へ一旦戻って、夕方からはスポーツクラブへエアロに行きました。
ナチュラル薬膳生活では、呼吸法を伴いインナーマッスルを使うゆっくりとした運動も、動きの速い有酸素運動も、陰陽バランスで両方やるのですね。
だから薬膳ライフコーチはあまりきつくない適度なヨガやエアロが大好きです。
その後、4月期の【前期】薬膳基礎コース、新入学生さま達へお送りするスタディーガイドやテキスト資料を完成させて入学祝いプレゼントと一緒にレターパックプラスへ封入。
春は仕事もプライベートもワクワクの連続で充実の日々が続きます。
好奇心旺盛で人生の使命がたくさんあるからタイムマネジメントはとても大切。
読者の皆さまも、桜の季節を喜びに満たされて過ごしていらっしゃるといいなと願っています。
さて、今日の午前中のご通学の対面による理論レッスンでは、お越しくださった生徒さまをハーブ薬膳茶でおもてなししました。
その際、生徒さまのご様子と今日のお天気コンディションに合わせて、朝鮮人参の薬酒をほんのちょっと組み合わせたら、とても喜んでくださったのですね。
薬膳で言う「薬酒」はメディカルハーブでは、「チンキ」ともとも呼ばれているハーブ製剤で同じものです。
せっかくの機会なので今回は朝鮮人参の薬酒(チンキ)とは何か、そして、おもてなしハーブ薬膳茶に朝鮮人参のエキスを加えて生徒さまに分かち合ったワケをご紹介します。
朝鮮人参の薬酒(チンキ)とは何か
朝鮮人参は漢方薬で有名ですが生薬でもあり一般食品として食材としても扱うことのできる植物の根っ子の部分です。
ここでは、それを棗(なつめ)や氷砂糖とともにホワイトリカーに漬けたものを「朝鮮人参の薬酒」とここでは呼んでいます。
朝鮮人参にはトニック効果があるので、肉体的にも精神的にも速攻で元気になりたいときに使われます。
だから元気いっぱいの子どもや若者には刺激が強すぎるので普通は使いません。
朝鮮人参の薬酒は元気になる薬膳スープを作るときに加えたり、薬膳調味料として使うこともあるので、当薬膳スクールでは「薬膳酒」という場合もあります。
こちらでは薬酒をチンキと呼ぶこともあるのですが、それは薬膳ライフコーチはメディカルハーブを使いこなす「中医ハーバルセラピスト」でもあるからです。
以前はNPO法人日本メディカルハーブ協会認定の「ハーバルプラクティショナー」、「ハーバルセラピスト」でした。
しかし現在は現代医学や生理学に加え中医薬膳学の知見も交え、薬膳素材のひとつとしてメディカルハーブを扱っています。
朝鮮人参はメディカルハーブでもある植物で、メディカルハーブの世界では植物をアルコールに漬けて有効成分を取り出した冷浸剤を「チンキ(英語ではtincture)」といいます。
わざわざ植物をアルコールに漬けるのは、保存が利くこと、植物の持つ有効成分のうち水溶性成分も脂溶性成分も効果的に両方引き出せることが理由です。
ところで薬酒やハーブを紹介しているとき、「ときどきホワイトリカーの代わりに日本酒で漬けてもいいですか?」といった質問を受けることがあります。
薬酒(チンキ)を作るのに、日本酒はアルコール度数が15℃前後しかないので向きません。
アルコール度数が低いと漬け込んだ植物が腐ってしまうので、35℃のホワイトリカーや40℃くらいのウオッカなどを使うのが一般的です。
サロン教室に置いてある朝鮮人参の薬酒は、実は「薬膳ライフコーチのプロフィール」でご紹介している亡き父が平成8年(1996年)、26年前に漬けた年代物。
せっかく作ったのに忘れてそのままにしていたのではないかと思います。
自分が薬膳スクールを開業した後、実家の台所の床下から発見して、大切に使わせてもらっています。
薬酒にはいろいろありますが、朝鮮人参の薬酒(朝鮮人参酒)のほか、日本でホワイトリカーにつけた植物と言えばやはりなじみ深いのは「梅酒」ですよね。
梅酒も青梅の薬酒ですから、メディカルハーブでいうチンキと同じメディカルハーブの冷浸剤と同じものなのです。
朝鮮人参との薬酒(チンキ)を熱々のハーブ薬膳茶にプラスしたワケ
生徒さまのために、今日、その朝鮮人参の薬酒をハーブ薬膳茶にプラスしたワケは、もう4月に入って桜満開なのに寒の戻りで雨が降り冬のようにとても寒かったからです。
今日に限らずご通学の対面レッスンの際は理論のときも調理のときも、皆さまが五感を使って学びを深められるように、ハーブ薬膳茶をお出ししています。
薬膳素材とハーブと食材が重複しているものを配合するカタチなのですが、理論的な根拠は中医学なのですね。
今日の生徒さまに調子を伺いましたら、精神疲労とともに肉体疲労もちょっと出ている感じだったこと。
そして、今日はいきなり冷え込んで雨が降って気温が下がったので、冷えに湿気を伴う「寒湿(かんしつ)」のお天気コンディションだったこと。
こうした体内と体外の状況を踏まえて、生徒さまのお気に入りハーブブレンドに、朝鮮人参と棗のチンキを少しブレンドして、トニック(強壮)&体を温める感覚を楽しんで頂きました。
「寒湿(かんしつ)」の邪気を吹っ飛ばす《おもてなし》ハーブ薬膳茶の処方になっています。
普段から超多忙な生徒さまなので、せめてサロン教室では寛いでレッスンを受けて頂きたいなと思っています。
だから、冷えや湿気対策だけでなく心も癒す《おもてなし》ハーブ薬膳茶にしました。
実は生徒さまも将来はクライアントさんのために、薬膳の知識も交えたカウンセリングをなさりたい夢をお持ちです。
だから、将来クライアントさんのコンディションに合わせて、こうした《おもてなし》をできるようになってくださったらいいなと思っています。
今回行った処方は、とっておきの朝鮮人参と棗の薬膳酒のアルコールを飛ばすため、熱々のハーブ薬膳茶に少量を落として差し上げた次第です。
ご本人はお気づきでなかったかもしれませんが、寒そうで白かったお顔がほんのり桜色に温まって、元気にレッスンを受けてくださいました。
朝鮮人参には「大補元気(だいほげんき)」という働きがある中薬なので、それを少し活用。
湿気を除く利尿作用のあるハーブティーと合わせて、寒湿のケアにと手の役立つのですね。
生徒さまはレッスンの後、元気にサロン教室を後にお帰りになられました。
本当はいつも一緒に記念撮影をしているのですが、レッスン後に2階に新しくしつらえた「薬膳ライフヨガ」にも使う貸しスタジオ空間をご案内していたら失念。
ですので、今回のレッスンの様子はわたくしひとりの自撮りで撮影しました(汗)
まとめ【薬膳レシピ開発】レッスンにて朝鮮人参の薬酒でおもてなしハーブ薬膳茶のワケ
今回はナチュラル薬膳生活専門家養成コース【前期】薬膳基礎コースでの理論レッスンのひとこまを分かち合い。
生徒さまにおもてなしハーブ薬膳茶に朝鮮人参の薬酒を加えたことから、薬酒(チンキ)とは何か、そして薬酒をハーブ薬膳茶に加えたワケをご紹介しました。
朝鮮人参の薬酒は、朝鮮人参の有効成分を引き出すため、ホワイトリカーに漬けたもの。
メディカルハーブの世界では植物をおよそ35℃以上の度数が高いアルコールに浸したハーブ製剤をチンキといい、薬酒と同じであることを紹介。
その朝鮮人参の薬酒をアルコールを飛ばして少しハーブ薬膳茶に加えたのにはふたつの理由がありました。
ひとつは今日は桜満開の春の日なのに季節外れの寒さと雨の日だったので、体を温めて差し上げたかったこと。
それからもうひとつは、生徒さまが体は健康だけれど、忙しくて心も体も疲れていますと最初におっしゃっていたので、疲労回復に朝鮮人参のトニック効果を体感して頂きたかったからです。
朝鮮人参には「大補元気」といって、心も体も元気にしてくれる働きがあるとされています。
須崎桂子けいてぃー♪
参考文献:
須崎桂子著『ナチュラル薬膳生活入門編』
須崎桂子著『ナチュラル薬膳生活応用編』
神戸中医学研究会 編著『中医臨床のための中薬学』
Andrew Chevallier『Herbal Remedies』]]>