昨年末は早めに夫の実家に帰省したのでお正月は年明け2日の夜には自宅に戻りました。
新型コロナのオミクロン株の感染者が増加傾向にあるから移動は電車でなく自家用車。
夫と交代しながら長時間の運転、そして途中からは日が暮れてきたので夜道に目を凝らし、帰宅後はふたりとも結構へとへとになりました。
それに年末年始のご馳走続きだったこともあり、心・体・目だけでなく、胃袋もお疲れ気味。
病気というほど胃の調子が悪いわけではないけれど、普通に食事を摂ると何だか胃がもたれそうな感じでした。
それでも胃腸が丈夫で3食欠かさない夫は、簡単な食事でいいからとお夕食を食べたがります。
さあどうしましょう。。。
しかしこんなときこぞ「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」の知恵があれば大丈夫^^
このように食欲があまりなくて凝った料理をしたくないときにも、薬膳レシピ開発のスキルはとても役に立ちます。
薬膳のプロを目指す大人女性にお届けしている【ナチュラル薬膳生活Ⓡ学び舎ブログ】。
そこで今日は胃もたれ予防にサクサク作ったキャベツ薬膳のお話しです。
年末年始のご馳走シーズンになると電車の中刷り広告やテレビコマーシャルでは胃腸薬の宣伝が花盛り。
でも胃腸の働きを助ける薬膳食材を知っていれば、解毒を担う肝臓に負担をかけてしまいがちな医薬品を摂る量は減らせます。
暴飲暴食をしていなくても胃もたれしやすい胃腸が弱い人や、更年期から消化不良が気になり始めた大人女性の食養生にもお役に立てば幸いです。
年末に本能的に手に入れた大きなオーガニックキャベツの呼びかけ
薬膳ライフコーチは薬膳素材・現代栄養学・メディカルハーブ3つの視点から、食材の分類データをざっくり頭の中に入っています。
2005年から中医師や医療従事者の先生から薬膳や中医学や植物化学を学んでプロになってから10数年が経つからでしょう。
自分や家族の健康管理に必要な薬膳食材はタイムリーに使えるように、特に意識せずとも本能的に手に入れてストックしている場合が多くなりました。
ちょうど帰省先の夫の故郷で暮れのごちそうの食材の買い出しをしていた真っ最中。
お雑煮に使いたい三つ葉が大きなスーパー2件を回ったのに売り切れでがっかりしていました。
野菜売り場にはいろいろな野菜が山積みで売られているのに、なんと三つ葉だけないのです!
需要が高まるお正月にだけ異常にお値段が高くなる三つ葉。
需要と供給の関係でお高いのは仕方ないにしても、お正月料理に香りと彩りを添える手軽な三つ葉がないのは本当に残念でした。
薬膳では食材のよい香りの働きも「心の癒し」や「体内の循環促進」に使うので、お料理によってはこれらの働きが半減してしまいます。
すると、売り場の向こうに大きな「オーガニックキャベツ」が特売で出ているのが目に入りました。
そしてどうしてもそのキャベツが気になって仕方がなくなりました。
以下はそのキャベツ自体ではなくイメージ画像ですが、年末年始のごちそう和食にはあまり使われないせいか、店内ではだれもキャベツには目もくれません。
自分もショッピングカートに入れた大量のお刺し身や鶏肉や大根や長葱や苺などに加えて、大きなキャベツも買うべきかしばし悩みました。
それで家族がほかの食材を選んで広いスーパーの店内を見て回っている間、何度かひとりで野菜売り場に引き返して・・・結局買い物かごに重たいキャベツを入れました。
直感がこのキャベツさんは買っておくといいよ、と心の中でささき続けていたからでした。
キャベツは薬膳素材辞典によると、気(生体エネルギー)を補給する補気類の薬膳食材。
でも気を補給するだけでなく、
体の中にかたまった老廃物(結)をほぐして外に追い出す「散結(さんけつ)」という作用もあるのですね。
だから、年末年始にたくさん食べてお詰まりになりやすいこの時期に、「
キャベツの備えあれば憂いなしになるよ。」と本能が教えてくれたのかもしれません。
でも夫の実家に滞在中には他に買っていた「水菜と塩麹鶏のみかんサラダ」などをおせちの箸休めに出したら、元日に集った家族や親戚に好評で年末に買った大玉キャベツは料理しそびれてしまいました。
そして翌日は帰宅する日。
夫の実家で一人暮らしをしている高齢の義父は自炊が好きなのですが、その大きなキャベツ以外にも年末年始に使いきれなかった食材を全部置いて帰るには多すぎます。
既に作ってあるおせち料理の残りや小豆汁粉などはタッパに詰めて冷蔵庫に置いていき、食材は全部車に積んで持ち帰ることにしました。
以下は美しくスタイリングして撮れなかったのですが、お義父さん手打ちの年越しそばの残りを翌日のお正月のランチの〆におせちの残りや箸休めの「水菜と塩麹鶏のみかんサラダ」と共に家族で楽しんでいた最中。ありのままの食卓の様子です。
お義父さんが冷蔵庫に詰め合わせたおせちの残りをとても喜んでくださったことは、言うまでもありません。
実はこうして帰る前に実家の冷蔵庫の中を整理していたら、なんと義父が昨年使い残した別のキャベツが少し入っているのに気づきました!
お義父さんはもう90歳過ぎの年齢です。
聞いてみるとキャベツはご自分で料理して食べているとのこと。
年齢の割に若々しくて年越しそばをささっと打ってくれるし、里山のお寺の上にあるお義母さんのお墓参りにもすたすた急な坂道を歩いて元気に戻ってくるし、頭脳も足腰丈夫なパワーを今も持っている小柄だけれど強靭な人。
好き嫌いは少ないし70歳過ぎまで自営で自動車部品関係の小さな工場を夫婦で切り盛りしていた自立&自律の人です。
お義父さんはすごいな、キャベツも食養生に普段から取り入れて
薬膳生活をしている健康長寿の人なのだと改めて敬服してしまいました。
是非、見習いたいものです。
胃もたれ予防の薬膳「キャベツとえのき茸の豚しゃぶスープ」処方の解説
では、夫の実家で楽しくお正月過ごし、いつもより食べ過ぎた状態で帰宅した日の家庭薬膳の処方をどうしたのか、ナチュラル薬膳生活の実際の視点でご紹介します。
夫は胃腸が丈夫なのでお腹いっぱい食べてもすぐにまたお食事をおいしく食べられる体質なのは先にお話ししたとおりです。
しかしだからと言って一緒に食べ続けてしまうと、自分はそれほど消化器が丈夫なわけではないので、胃もたれになりそうで心配でした。
もちろん薬膳ライフコーチなので、中医学と薬膳学の知恵を駆使して健康を守る夕食を考えたので分かち合いますね。
まず使いきれずに持ち帰った年末年始のスーパーのお買い物と、自宅の冷蔵庫に残してあった食材の中から、胃もたれ予防だけでなくお正月太りの予防にも役立つ薬膳素材を見極めました。
選んだのはもちろん先にお話しした大玉のオーガニック
キャベツ。
キャベツには現代栄養学的に見てもキャベジン(ビタミンU)が含まれていて、胃壁の粘膜を守って再生を促すことが知られているからです。
まさに帰省からの帰宅直後、「胃腸のトラブル予防に備えあれば憂いなし」の本当によい年末の買い物でした。
そして薬膳素材辞典では化痰類の
えのき茸。年末に買って自宅の冷蔵庫に入れっぱなしになっていました。
「痰」というのは体の中に生じた水毒の固い病的な産物のことを指し、俗にいう口から吐き出す痰のことではありません。
えのき茸には「
化痰通便(かたんつうべん)」という作用があって、お通じで体の中の老廃物を解毒する薬膳食材です。
化痰の「化」は代謝とほぼ同じ意味で、ある物質をほかの物質に変化させることを意味します。
だからここでは、体内に溜まった未消化の「老廃物」を「お通じ」に変化させる臓腑の働きのことになります。
そして、お出汁に冷蔵庫に保存しておいた脂身の少ない豚ロースしゃぶしゃぶ用の
豚肉を使って、具だくさんの
デトックス系の薬膳スープを作ることにしました。
豚肉からは旨味が摂れるほか、薬膳素材としては寒い冬に傷めやすい五臓の腎を強化して、異常乾燥注意報が出やすい関東地方の冬に嬉しい潤い補給の作用があるからです。
腸管は潤うことで老廃物をするりと外に追い出します。
帰宅した晩はキャベツ、えのき茸、豚肉をメインの薬膳食材としてたっぷり作り、残りも翌朝温め直しておいしく頂きました。
この家庭薬膳のレシピは「
キャベツとえのき茸の豚しゃぶスープ」と命名。
特殊な薬膳素材は使わずに中医学の理論に基づいて、スーパーの食材で胃腸をいたわりお正月太りの予防にも役立つ薬膳レシピ開発をしました。
【ナチュラル薬膳生活Ⓡ学び舎ブログ】では難しい中医学の薬膳処方の流れを、魔法の3ステップ
①不調の症状➡②タイプ分け➡③薬膳の対策をやさしく解説しています。
この流れでやさしく説明すると、
①胃もたれの不調➡②胃腸の働きが弱っているタイプの不調➡③胃の消化力を高め、お通じを促す薬膳の対策
こうした薬膳の処方になっています。
このようにナチュラル薬膳生活カレッジでは、完成形の薬膳の料理がなぜ、特定の薬膳食材と調理法を使って作られたのか、その理由が手に取るように分かるように工夫して生徒さまにもお伝えしているのですね。
なぜなら薬膳は普通のお料理ではなく、
中医学の食事療法だからです。
薬膳の食事療法の特徴のひとつは、
薬膳レシピの目的をほかの症状にも応用できる場合が多いことです。
この薬膳レシピは胃もたれの予防を目的に開発しましたが、年末年始に体に溜め込んだ老廃物をお通じのカタチで腸管から体のそとに出す働きもあるので、お正月太り予防の薬膳や、お通じ改善の薬膳にも応用が利くのです。
よかったら年末年始の体調管理に役立ててくださいね。
胃もたれを予防する薬膳「キャベツとえのき茸の豚しゃぶスープ」レシピ
【材料】2人分
A:
水 400ml
生姜 10g
長葱 1/2本
人参 1/2本
キャベツの葉 4枚
えのき茸 100g
豚しゃぶ肉 100g
ポン酢しょうゆ、胡麻だれ、柚子こしょう、塩麹など 適宜
【作り方】
①生姜を薄切りにする、長葱を3cmの斜め切りにする。人参を乱切りにする。
キャベツの葉の芯を固い部分を切り取り薄切り、葉の部分はざく切りにする。
②①で下ごしらえしたAの材料を鍋に入れて強火で加熱する。
③煮立ったらとろ火にして灰汁を取りながら加熱する。
④材料が柔らかくなったら豚肉を加えて火が通ったら火を止める。
⑤深皿に取り分けながら、好みの調味料や薬味で頂く。
【補足ポイント】
①胃腸に負担をかけたくない場合は、薄味で食べるようにしましょう。
②豚肉からスープに沁み出た脂が胃にもたれるほどでなければ、温かい汁物はお腹を温めて消化吸収力を高めるので、スープも一緒に召し上がるとよいでしょう。
【薬膳レシピ開発】胃もたれ予防に備えあれば憂いなしキャベツで消化促進
今回は、薬膳ライフコーチがお正月の帰省から戻った日にごちそうで疲れた胃腸をいたわるために使ったキャベツの働きを現代栄養学と薬膳学の視点から併せてご紹介しました。
帰省先の夫の実家での年末年始のごちそうの買い出しで胃腸の働きを助けるキャベツも買ったこと、実家での楽しいお正月の食卓の様子についてもエピソードを残しました。
そして、帰宅してすぐに作った胃もたれ予防の薬膳についてのやさしい理論の解説と、実際に作った簡単なキャベツ薬膳の調理例「キャベツとえのき茸の豚しゃぶスープ」のレシピと補足ポイントもご案内しています。
胃もたれ予防の薬膳として処方を考えましたが、お通じ改善にも役立つメカニズムについても説明を加えています。
このブログ記事を通じて薬膳レシピ開発力をとても大切にしている「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」の理念が、薬膳を仕事に生かして社会に貢献したい大人女性の皆さまのお役に立てばとても嬉しく思います。
参考文献:
須崎桂子著『ナチュラル薬膳生活入門編』『ナチュラル薬膳生活応用編』
五明紀春監修『食材健康大事典』]]>