【薬膳素材】生の無花果で便秘を改善して食欲の秋太りを予防

【薬膳素材】生の無花果で便秘を改善して食欲の秋太りを予防

薬膳ライフコーチがレシピ開発中

医療や食やセラピーの現場で、自分や家族の不調に何を食べたらいいのか迷う患者さまやクライアントさまに、やさしい家庭薬膳レシピを提案できる人材を育成して14年になります。 きっかけは、肺がんの放射線の通院治療で体内の呼吸器に火傷を負った父に、実家で炎症を癒す料理を考えられなかった会社員当時の後悔でした。 父が他界した後この苦い経験を糧に薬膳を学び、勤めを辞して2008年に《薬膳の専門家》を養成する薬膳スクールを開校して現在に至ります。 《薬膳の専門家》を育てる【ナチュラル薬膳生活Ⓡ学び舎ブログ】 ナチュラル薬膳生活専門家養成コース【前期】薬膳基礎コースの薬膳レシピ開発レッスンの今月のテーマは秋の季節薬膳です。

秋の季節薬膳レッスン20220904-3

その中でご紹介しているのが薬膳素材のひとつが「生のフレッシュな無花果(いちじく)」。 そろそろ旬が始まってスーパーのフルーツコーナーの店頭には、ふっくら熟した移築が並んでいるのを見かけるようになりましたね。 先日のレッスンでは思ったより無花果が大きくて、たくさん使ったら調理レッスンでひとつ多めに無花果の薬膳スイーツが出来てしまいました。 ちょうどレッスン後に、今柏本校サロン教室の物件売却をお願いしている営業さんがお越しになる予定だったので、そのスイーツを召し上がっていただきました。 横浜移転による柏本校サロン教室の物件売却についての経緯は、蓮蓉茶樓物語シリーズをお読みください。 とても喜んでいただきましたが、何と、生の無花果を食べたのは人生で2回くらいしかないかもとおっしゃったのですね。 そういえば、フレッシュな無花果をあまり食べたことのない人は、少なくないかもしれません。。。 そう感じたので、この時期に旬を迎える無花果が食欲の秋、乾燥の秋のお通じケアに役立つことをご紹介したいと思います。 秋太りでコロナ太りに拍車とかけたくない、ダイエットしたい方にもお勧めの薬膳素材、無花果のお話ですのでよかったら参考にしてみてください。 今回は、「【薬膳素材】生の無花果で便秘を改善して食欲の秋太りを予防」をお届けします。

秋に起こりやすい不調は乾燥による呼吸器・お肌・大腸のトラブル

薬膳のみなもとである中医学によると秋に起こりやすい不調は乾燥による呼吸器・お肌・大腸のトラブル。 どの臓器や器官も本来はプルプルに潤っていることでよく機能するので乾燥は大敵。 中医学のいしずえである中国古代哲学の五行学説では、秋が属する金行は「」すなわち乾燥がこのシーズンの特徴であると伝えられてきました。 ゆえに、「潤い補給」が秋の季節薬膳の基本的なテーマになります。 その他にも症状によって細かい予防ケアの手法がありますが、そちらはコースでしっかりお伝えしています。 日本近海に台風があるためか今日はまだ残暑の湿気を感じるものの、そういえば自分は洗顔後は化粧水だけでなく保湿液をしっかり使わないと、顔面の肌がつっぱるように感じ始めました。 五行というのは中国の古代の教養人たちが後世に伝えてくれた素朴な哲学。 季節や人体の組織器官などはあらゆる森羅万象は五つのカテゴリーに分類されると考えていたのです。 中医学の根底には、大宇宙の厳しい天候変化をもたらす大自然を大宇宙と見做し、その影響をもろに受ける人間の体を小宇宙になぞらえて、人の心と体の調子を整える知恵を後世に伝えてくれました。

五行説のイメージ

  金行には前述した秋の季節、乾燥という特徴、人体組織の肺・皮膚・大腸が含まれています。 このことから、秋の乾燥で起こりやすい代表的な不調は、咳・カサカサ肌・乾燥による便秘と伝えられてきました。 確かに思い当たる方が多いのではないかと思います。

秋の紅葉

これらの不調のうち乾燥による便秘に対しては、生の無花果は瑞々しくて潤い効果が期待出来ますし、整腸作用がありますから大腸に働きかけてお通じを改善するために使われてきました。 食欲の秋は「天高く馬肥ゆる秋」と言われるだけあって、美味しものがたくさん出回るので太り過ぎに注意が必要です。 程よく食べて美味しく腸管から老廃物をデトックスる薬膳作りに、生の無花果はとても役立つことでしょう。 では、その働きのメカニズムを薬膳と現代栄養学の視点から捉えてみましょう。

食欲の秋太りの予防とケアにお通じ改善に薬膳素材の生の無花果を

ナチュラル薬膳生活文化普及協会の基準によると、無花果はお通じで解毒を促す「デトックス系」の薬膳素材に大分類されています。 デトックス系というのは、腸管に溜まった老廃物や浮腫みを生じさせる水毒など、体内に滞ったさまざまな病的産物を体の外に追い出す分類体系のひとつ。 無花果はこの分類体系のなかのお通じを改善させる「瀉下類」にカテゴライズされています。 秋は美味しいものがどんどん市場に出回ってくるのでついつい食べ過ぎてしまいがち。 だから、こうした解毒の働きを持つ薬膳素材も一緒に食べながらお詰まりを予防ケアしていれば、食欲の秋太りを防ぐのに役立つのです。

無花果のヨーグルトゼリー

体を温めもしない冷ましもしない「平」の性質を持ち、からだを滋養する「甘」の味が特徴。 胃腸の働きを整える「健胃整腸」、体内に溜まった病的産物の塊を解毒する「消腫解毒」、肺を潤して鎮咳する「潤肺止咳」、喉を打つ押して声枯れを改善する「生津利咽」に働きます。 現代生理学ではなく、中医学でいう小腸、大腸、膀胱に働きかけて、消化吸収やデトックスを促します。 これらの臓器は全て潤うことでよく働くので、乾燥した季節にほどよいおしめりを体内にもたらす無花果が大好き。 ですから、秋にお勧めの薬膳素材のひとつとしてご紹介しているというわけです。 現代栄養学やメディカルハーブの視点から捉えれば、無花果の消化や解毒を促す働きには、フィシン、リパーゼ、アミラーゼなどの食物酵素が関わっていることが科学的に分かっています。 食物酵素や酵素については、薬の代謝に関して他のブログで説明しているので、もっと深く知りたい方はこちらの【薬膳お役立ち情報】をお読みください。 薬膳の先人たちはこうした無花果の薬理作用を経験則から知って活用してきました。 以下は、今回ご紹介した無花果の中医薬膳学的かつ現代栄養学的な働きをまとめたものです。
機能補助系 瀉下類 無花果 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 平 甘 小腸 大腸 膀胱 健胃整腸 消腫解毒 潤肺止咳 生津利咽 *栄養素・生理機能成分* 炭水化物 カリウム ペクチン 食物繊維 フィシン リパーゼ アミラーゼ

参考文献 『ナチュラル薬膳生活入門編』 『食材健康大事典』

薬膳ライフコーチが社会に普及している「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」は、こうした先人の食事療法を中心に、現代のライフスタイルに取り入れた暮らし方です。 もちろん、秋太りを防ぐには食事に気を付けているだけでは難しいので、適度な運動と休養も推奨していますよ^^

食欲の秋太りの予防に無花果を使うならドライではなく生のほうがよい理由

もし秋太り予防のダイエットが目的で無花果を使うなら、是非、旬の生のものを使ってください。 なぜなら、100gあたりのカロリーで比較すると、生は57Kcalなのに対して、ドライは272Kcalもあるからです。

乾燥と生の無花果

生命を維持するのに欠かせない熱源のカロリーですが、生活習慣病を予防したい人は程よく摂るのがよいですね。 乾燥させたドライフルーツの無花果は、水分が抜けて栄養分や植物化学成分がぎゅーっと凝縮しています。 同じグラム数でも有効成分の含有量が4~5倍近くになるのです。 だから少量をゆっくり食べれば、お通じを促す食物繊維をはじめ先に挙げた植物化学成分をしっかり補給。 体内の水分を使ってお腹の中でふくらむので満足感を得られます。 しかし甘くて小さく縮んで乾燥したタイプだと、ついつい一度にたくさん食べてしまうかもしれません。 まさかドライ無花果を100gいっぺんに食べる人はいないと思うので、カロリーだけ見て生の無花果と単純に比較はできません。 でも、無花果が短い旬を迎える秋の走りであれば、せっかくなので生のほうを選んで、ダイエットに活用するのがお勧めです。 生の無花果は1個で90g程度あるので、一つ食べればかなり満足。 それにジューシーなのでそのままで秋に傷めやすい臓器や器官に潤いを補給します。 五行説では金行で呼吸器や大腸につながりが深い皮膚も間接的に潤すので美肌効果も期待できるのが嬉しいですね。

女性の肌荒れ

まとめ【薬膳素材】生の無花果で便秘を改善して食欲の秋太りを予防

このように、秋の初めに出回るフレッシュな生の無花果は乾燥が始まるこの時期の食事療法にぴったりな薬膳素材のひとつです。 秋は呼吸器・お肌・大腸が外界の乾燥した空気の影響で潤いを奪われるので、咳・ドライ肌・乾燥タイプの便秘といったトラブルが起こりやすいもの。 巡る季節で起こりやすい典型的な不調を予め知っておいて、心と体の失調を普段の食生活で防ぐのが薬膳の先人の知恵です。 今回は秋の季節薬膳でご紹介した薬膳素材の生の無花果にちなんで、薬膳学だけでなく現代栄養学の要素も含めてご紹介しました。 こうした薬膳の知恵を現代のライフスタイルに取り入れて、健やかに幸せに暮らす「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」の社会普及活動の一端を知って頂けたら幸いです。 須崎桂子けいてぃー♪ 参考文献・出典: 『ナチュラル薬膳生活入門編』 『食材健康大事典』 日本食品標準成分表2020年版(八訂)]]>