今回はナチュラル薬膳生活専門家養成コースのカリキュラムについてのご質問へのお答えが話題です。 「中医学とけいてぃー先生のところで学んでいる中医学理論のレッスンは、どう違うのか知りたい。」というお尋ねでした。 基礎から応用まで自分ですらすら薬膳レシピ開発できるようになるこのコースには中医学の基礎理論と応用理論が含まれています。 なぜなら、薬膳は中医学に基づく食事療法だからです。 有名な「陰」と「陽」の考え方から始まって、複雑な五臓六腑の機能のメカニズムまで理解していないと、健康維持増進・病気の予防ケアのための食事を自分で考えて組み立てられません。 来月はいよいよ10月期、ナチュラル薬膳生活専門家養成コースの【前期】薬膳基礎コースと【後期】薬膳応用コースが開講予定。 一般的に言う「中医学」と、【前期】と【後期】必修科目の中医学理論レッスンは、何がどう違うのか。 確かに、薬膳をこれから学びたい皆さんの心にも浮かびそうな疑問です。 今回のテーマは、「【よくあるご質問】「中医学」と【前期】【後期】の「中医学レッスン」の違い」です。 薬膳を本格的に学ぶ人が必ず習得すべき中医学の学びに関するもやもやを解消していきましょう。
目次
そもそも薬膳を学ぶときに必ず出てくる中医学理論とは何か
薬膳ライフコーチのブログをいつも読んでいる方はお分かりだと思いますが、薬膳は中医学の食事療法です。 だからどこで学んでも本格的な薬膳のコースカリキュラムには必ず中医学理論が含まれているはずです。 でも、そもそも中医学が何なのかよく分からない段階では、この答えだけでは十分に答えの意味が掴めないことでしょう。 これから薬膳に取り組む初心者の皆さんの中には、中医学についてまなぶ比重がかなり高いのをご存じないかもしれません。 中医学は「中国伝統医学」の略称です。中医学と一口に言っても範囲は多岐にわたります。
例えば上図は一般の方も目にしたことがあるはずの「陰陽太極図」。 中医学のみなもとである「中国の古代哲学」の宇宙観と人体観のベースである陰と陽のビジュアルイメージです。 一般的な「中医学」にも【前期】にも、基礎理論にはこうした抽象的な概念が含まれています。 中医学に関わる薬膳の専門家や鍼灸師を目指す人達は必ず学ぶ基本の要素のひとつです。 中医学は本場中国の中医薬大学で学生さん達が何年もかけて学ぶ、一般教養から専門分野までさまざまな要素があります。 ここでは一つひとつの詳細は割愛しますが、「中医学基礎理論」「中医内科学」「弁証学」「中薬学」「方剤学」「中医薬膳学」「中医営養学」「経絡学」と言った感じです。 最初にお話ししたように中国の古代の教養人たちのあいまいな宇宙観から始まって、 ・人体の働きと病気の関係 ・病気になる理由の分析 ・病気を治す薬草や動物や鉱物などの薬 ・病気を治す薬の配合 ・病気を予防治療する食事療法 ・健康を守る食材の働き ・生体エネルギーの働きと病気の関係 といったように、次々と学ぶ内容が多面的に深化していきます。 中医学は理論的な体系がある程度確立して文献が著されるずっと以前の古代哲学から数えると、三千年とも四千年ともいわれる長い歴史を通じて育まれた伝統医学なのです。
【前期】と【後期】で学ぶ薬膳のための中医学カリキュラム
薬膳を学ぶのにこれら中医学の要素を生徒さん達にどの程度習得してもらうべきか。 日本にある各種の薬膳スクールでそれを決めているのは、薬膳カリキュラムを提供している個人や組織それぞれの裁量です。 従って、他の薬膳の学習の場でどこまで中医学をカバーしているか自分には分かりません。 しかし言えるのは、大手の薬膳スクールであれ小さな薬膳料理教室であれ、学習内容には少なくとも最初にご紹介した陰と陽の考え方は必ず含まれているはずです。 陰と陽は人体が健康な調和のとれた状態にどれだけ近いかを知るのに欠かせない基本のバロメーターだからです。 【前期】薬膳基礎コースでは、この陰陽を含む中国古代哲学はもちろん ・中医内科学に基づく五臓六腑の働きの概要 ・病気を予防ケアするための中医学独特の弁証法 ・薬膳素材の分類と働き ・薬膳調理の基本の考え方 ・基本の薬膳レシピ開発の手法 ・季節的な不調を予防ケアする薬膳レシピ開発の手法 を学んで基本的な中医学と薬膳学の知識と実践力を身に付けます。
【後期】薬膳応用コースに進学すると、【前期】の知識と実践力をたたき台に、 ・中医学の理論を用いる診断法 ・薬膳で使える生薬や生薬の組み合わせ ・中医内科学に基づく五臓六腑の働きの各論 ・人の体質や体調に合わせる薬膳レシピ開発の手法 を学んで応用な中医学と薬膳学の知識と実践力を身に付けます。 けいてぃー先生から学ぶ中医学についての生徒さんからのご質問から派生して、もうひとつ。 一般的な中医学のカリキュラムでは学べない、薬膳ライフコーチのこれまでの実践経験からお伝えしている【前期】と【後期】の独自の要素についてもご紹介してしめくくりたいと思います。
中医学だけでは学べない【前期】と【後期】の独自のレッスン内容
【前期】と【後期】にはこのように中医学の要素のうち、自分で考えて不調を予防ケアできるようになるのに必要不可欠な内容を交えてレッスンを行っています。 しかし中医学はもともとあいまいな中国の古代哲学から生まれた伝統医学であるため、現代人が直面する健康の問題にストレートに対応できないこと感じることがたびたびありました。 そこでここでは中医学理論に関連して【前期】と【後期】に含まれる独自のレッスン内容をご紹介します。 生徒さまが看護師や薬剤師や管理栄養士など、医療や食や各種セラピーの専門家である場合は、すでに現代生理学を知っている場合は話は別です。 現代の解剖生理学や食物の栄養学や臨床例を理解していると、最新の医学知識や食べ物の働きや不調の実例と比較しながら、中医学を新たな知識の引き出しとして自分の中で消化できるからです。 しかし薬膳を学ぶ生徒さまが一般の方である場合、 ・肝臓がどこにあるかといったといった解剖位置から始まって、 ・代謝とはなにかという具体的な定義や、 ・例えば鶏肉が現代栄養学的に何に分類されていてどう働くのかや、 ・急性病と慢性病の違いや、 ・赤血球や白血球とは何かや、 ・免疫システムとは何かや、 現代の医学や解剖学や生理学や栄養学の理解があいまいな場合が少なくないのです。
これらの方面の専門家でない場合、深く知っている必要はありません。 しかし、生活習慣病の予防ケアの薬膳など、現代人が直面する慢性病に対応する薬膳レシピを開発するには中医学理論だけでは足りない場合も出てきます。 このため、【前期】から【後期】を通じて生徒様のバックグラウンドと興味に応じて、こうした現代の医学的栄養学的な知見も交えながら、独自のアプローチでレッスンを行っています。 また薬膳素材には、メディカルハーブという科学的な研究が進んでいる薬草とダブるものが多いので、これらに関しても薬理作用をもたらす植物化学成分。 そして、その植物化学成分が体の中でどのように働いて不調の予防とケアに役立つのかといった仕組みについても、補足説明をしています。 薬膳の専門家としてこれから独自のコンテンツを作って仕事を始めたい、または現在の専門分野に薬膳のエッセンスを取り入れて人の健康管理をアドバイスしたい。 こうした薬膳キャリアをこれから追求したい方、またはそこまでしなくても、愛するご家族の固有の不調を予防ケアしたい方ががほとんどなので、心理学の知見に基づく薬膳カウンセリング技法も学びます。
このほかにも日本薬局方に鑑みて薬機法についてもお話しをしています。 薬膳は食材の薬理効果について触れている学問ですが、それをそのまま物販や飲食業に応用すると薬機法に触れて仕事が続けられなくなるリスクもはらんでいるからです。 薬膳ライフコーチが中医学にプラスアルファしてこうしたコンテンツを提供できる理由。 それは、薬膳スクールを運営しながら、薬剤師や心理学や管理栄養士の専門家から、現代の薬理学や薬草学や栄養学を学んで認定ハーバルプラクティショナーであったこと。 通信制大学で人間学(心理学専攻)で学士号を取り、認定心理士資格を持っていること。 管理栄養士から薬機法セミナーを受講したこと。などによります。
まとめ【よくあるご質問】「中医学」と【前期】【後期】の「中医学レッスン」の違い
今回は「【よくあるご質問】「中医学」と【前期】【後期】の「中医学レッスン」の違い」と題して、 ・中医学とは何か、 ・一般に言う中医学と【前期】と【後期】で学べる中医学の内容の違い ・現代生理学など中医学では足りない【前期】と【後期】の独自の学習内容 についてご説明させて頂きました。 これから薬膳を学んで専門家になって、家庭や社会で生かしたい各方面の専門家の皆さんや、健康志向の高い皆さんの薬膳スクール選びの一助になれば幸いです。